人生
生きていて
ときおり、途方もなく、人を困らせてくれる自然現象に
「屁」
というものがある。
みなさんも一度や二度、
いやいや、十度や百度くらいは
コイツにまつわる苦い思い出があるのではないでしょうか?
僕もご他聞にもれず
屁にまつわる悲しい出来事は
掘り返せばザックザク出てきまして・・
あれは中学生のころ
思春期です。
皮も剥けて、毛も生えて揃って
異性を意識・・というか、意識のほとんどが異性になっているような
もし意識が株式会社だったら
90%の株をもつ筆頭株主となって
全経営権を握ることでしょう
教室の中にも好きな子がいて
半径5m以内にその娘がいるときは
友達と会話をしていても
チラチラそっちを見て
「どぉ?今のツッコミ?オレってオモシロイっしょ?」
と心の中ではにかんだり
その娘が友達と何かの話題で盛り上がってると
「えっ?なになに?もしかしてオレのコトでそんなに盛り上がってるの?マジかぁー、オイオイ、オレはそんなにカッコヨクないっちゅーのっ」
などと、
もしタイムマシーンで、今の僕がその場にスリップできるとしたら
正座させて8時間くらい説教してやりたくなるくらい
自意識過剰で生きていたんじゃないでしょうか
そんなおり、
席替えのクジ引きで
憧れのあの娘が隣になっちゃいましたっ
もうニヤケ顔がハンパではなく
でも、そんなことを悟られるのもカッチョ悪いので
無理やり、舘ヒロシ的な表情を作るもんだから
ストッキング被ったようなひきつりダンディースマイルで
「よ・・よろしく・・」
とか言ってみる
でも、そんな自意識てんこ盛りな時期に好きな娘の隣になっちゃうと
自分の何かひとつの挙動も
もんのすごい意識しちゃうんですよね
給食の時間に、
汁物とかを
ズズズズーーー・・・
ってすするのも
もう恥ずかしくて
高級レストランかってくらいに
先割れスプーンで音を立てないように飲んだり
教科書忘れて、
その娘が自分の教科書を開いて
机と机の間に置いてくれても
「へんっ!いいかいオジョウチャン。オレは勉強なんかしなくたって大物になるんぜ」
と、なんの根拠もない虚勢を張って
短い足を組んで窓の外の遠くをまぶしそうに眺めて
先生に怒られたり
とにかく、
好きな娘が隣の席になった男子中学生というのは
世界でも類を見ないほど奇抜な生き物であろうことは
これでお分かりいただけたのではないでしょうか
そんなある日
ふいに下腹のあたりに
不吉な圧迫感を覚えた
そう「屁」である
前日の晩メシが
あのトリッキーなオカンの偏った栄養の知識で
やたらと繊維質の多いメニューだったせいか
急速に腸の中で勢力を増してくる屁
でも、できない・・
隣には憧れのあの娘が
自意識レベルMAXの年頃
肛門括約筋も、このくらいの頃は初々しく張りがあるので
屁を出そうものなら、
破裂音で始まるテノール歌手のように通り良い音を生み出すであろう
カタカナで表現するならば
「ブパアァァンァァアアアワワワワワワアアアアアァァァ・・・」
そんな感じでしょうか
隣の娘どころか
北は1組、南は5組の教室まで聞こえるかもしれない・・
そして音よりも
もっとも気にするのが
そう「におい」である
非常に匂いに敏感な年頃です
肛門の筋肉を絶妙に操作して
よしんば「すかしっ屁」にすることに成功したとして
そこには匂いという新たな問題が浮上してくる
これは大人になってもありがちの光景だが
数人でいる時に誰かが
「ぷうぅぅぅぅぅ・・」
と、屁をこいたあとに
みんな一同に
「オイオイ、なんだよぉぉ」とか
「オマエ、なんて女々しい音を出すんだよー」とか
「身ぃー出てねぇーか?オイ?」とか
最初はみんな笑いながら口々に冗談をいったりして盛り上がるが、
その後、寸分遅れて
強力な匂いが襲ってきた日には
誰もかれもが無言になり
笑顔は消え
それぞれの心の中では
「チッ!マジかよ・・コイツ・・」とか
「シャレんならんシャレんなんらん、マジ勘弁してくれよ・・」とか
「さいっっっ悪じゃん!!コイツ何食って生きてんだよ・・」と
発生源の奴に憎悪の感情を抱き
その場が凍りつくという
それほどに
屁は音よりも匂いに対する敵愾心が高い
ガラスの自尊心のカタマリのような男子中学生が
そんな場面に耐えられるはずもなく
「死んでも屁は出せんっっ!」
わずか14歳で巨大な十字架を背負った・・
目は血走り、アブラ汗ダクダク
浅い呼吸、早くなる脈拍
顔色を青くしたり赤くしたりで
迫り来る屁と戦う。
肛門砦では一進一退の攻防
屁軍は最初、10人くらいの小隊で攻めてきたが
肛門砦の守りは堅く
屁軍はあっさりと負け、腸の奥へと逃げ帰っていった
しかし数分後、
屁軍は100人くらいの中隊となって
再度攻め入ってきた
肛門砦は、多くの犠牲を出したものの
辛くも守り抜くことに成功
屁軍はまた腸の奥へと退散していった
その数分後
屁軍は2000人の兵士を引き連れた大軍となって
再び肛門砦に攻撃をしかけてきた
砦はもう崩壊寸前である
砦を守る括約筋の兵士たちは次々と倒れ
もはや陥落は時間の問題・・
憧れのあの娘が
眉間にシワを寄せて
まるで汚物でも見るような目で僕を蔑む姿が
フラッシュバックのように脳裏をよぎる・・・
次の瞬間っ
「ハイッ」
手を挙げる僕
「どうしましたか?」と問う先生
「すみません。。ちょっと体調が悪くて・・
保健室に行ってもいいですか・・」
先生「大丈夫ですか?、じゃあ保健室に行ってらっしゃい
えーっと保健委員は・・、」
僕「あーっ!だっ大丈夫です!
一人で行けますっ行けますからっ」
そーっと席を立ち
幽霊のように静かぁぁに出入口に向かう僕
隣の席の憧れのあの娘も
心配そうな眼差しを向ける
そんな彼女に僕は心の中で
「へっ・・心配ないぜハニー
すぐに戻ってくるからさっ
それまでイイコで待ってるんだぜ・・
はうっっっ・・くっくっくっ・・←肛門での戦いは続いている」
そして命からがら教室を抜け出して
ボイラー室の横の
いつも鈍い音で
ヴンヴンヴンヴンヴン
という騒音が満ちているところあたりで
国民に敗戦を告げるラジオ放送をして
砦を決壊させた・・・
パンっ!
ブパパパパーーーン
ピューーーーー・・ぶぱーん
ポーンポポーン
ぶばばばばばばばばばばば・・ばんっばばーん
それはもう隅田川の花火大会でした
こうして、危機一髪のところで
中学生のガラスの自尊心は守られたのであった
めでたしめでたし
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